長良川カヌー報告書

報告者:男爵

     日程 2004430()5月2日()

     予定コース 郡上八幡〜立花橋付近

     実際のコース 郡上八幡〜勝原橋(半在駅付近)

     メンバー CL 末松 SL 藤吉 竹中 小林 

     インフレ アドベンチャー(藤吉・竹中) アウトサイダー(末松・小林)

 

3月30

20時ルームを出発。前日に装備を京都にいるメンバーが準備していてくれたおかげで予定より少し遅れたが比較的早くに出発できた。高速の渋滞もなくだいたい3時間半程度で郡上八幡に着いた。藤吉の運転はまったく問題ない。長良川と吉田川の合流点付近の川原でテントを張り、インフレにも9割がた空気を入れ就寝。

4月1

出艇準備のときにライフジャケットのサイズについて重大な事に気づく。何となく持ってきたライフジャケットのサイズは
S×1、M×2、L×1今までもこういったことがあったから体の大きさに合わせて末松がS、藤吉、竹中がM、小林がLを着ることにしたのだがライフジャケットのサイズは体の大きさで決めるのではなく、体重で決めなくてはならなかったのだ、このことが後に重大なことになるとは誰も気にとめてなかった…。

915出艇、出艇地点のすぐ近くにあった出会いの瀬は事前の情報どおり99の大水で消滅らしく大きな石がたくさんある浅瀬になっていてさっそく船を引っ張ることになった。再び舟に乗り込みこぎ始める、この後は伝法下の瀬まで特に注意の要るような瀬はないと油断していると長良川の洗礼をいきなり浴びせられた。出艇してすぐの中州のところでアドベンチャーが危うく沈しかけ、後ろ向きでなすすべのなく流されていく、後ろのアウトサイダーが今までに経験したことのない速さで離れていった。川地図で何にも書いていないところでも水が保津のちょっとした瀬より速く流れ随所に子鮎レベルの瀬があったのだ。

何とか沈は免れ、気を引き締めなおして伝法下の瀬をめざす。

1020伝法下の瀬、伝法橋の下は川が右にまがっていて左岸よりに低い岩がある、下見の必要のないたいしたことのない瀬だと思っていたのだがさすがに名もない子鮎レベルの瀬があるなかで名前のついている瀬だけあって水がものすごい勢いで左岸よりの低い岩に当たり流れてゆく必死で岩を回避したらすぐに舟を右に向けないといけない。激しい流れの中で舟の向きを変えるのは横向きに沈しそうで怖かった。このころになるとスプレーカバーをしていてもアドベンチャーに水がたまってきたので排水のためにコンクリ塀の手前でとまり水を抜く、その直後に藤吉がアドベンチャーから空気が漏れているような音がすることに気づく、しかし竹中には遠くで水が落ちている様な音に聞こえ、実際に少し行った所で水が川に流れ込んでいるところがあったので気にせず進んだ。

 コンクリ塀は本当にコンクリートから何本も鉄筋が突き出ていて舟をぶつけると危なそうだが特に難しい流れもなく楽に通過。

1045当初の予定どおりオーナーバリの瀬の偵察。このときアドベンチャーの空気漏れを確認、船底の空気を入れるバルブの横から漏れていた、以前に小藪が応急処置をしてそのままにしてあったところだ。とりあえず同じ様に応急処置をしてオーナーバリの瀬へ。

1130オーナーバリの瀬、川幅が狭くなり激しく流れている。偵察の結果から確かに激しい瀬ではあるが瀬の途中に隠れ岩などもないので、瀬の真ん中を真っすぐ行けば問題ないという判断をして下ることになった。波によって舟は激しく上下したものの川の流れに乗って瀬の真ん中をあっさりと突破。予想していたよりも素直に下れて楽しい瀬であった。

 オーナーバリの瀬から少し行った所でアドベンチャーが沈。特になんでもないところで油断していたら小さな岩を避けきれず舟の真ん中あたりで岩にひっかかり舟が横向きになってしまった。水の流れが速いためそのまま沈。しかし藤吉がすぐに船を持ったまま岩で体を安定させることができたのですぐに復活できた。

 タチタチの瀬、この瀬も以前は凄かったらしいが出会いの瀬と同じく‘99の大水で消滅してしまい現在では浅めの瀬がザワザワと続くあまり激しくない所になっていた。だがここでアウトサイダーが沈、舟にくっついて流されている小林に近づき船に登るのを手伝ってその後に末松の救出に向かう、舟の上からのレスキューは自分の舟のバランスを取りながらうので少し時間がかかってしまった。

1200相戸の堰、ポーテージの必要がありそうなので左岸に上陸しここで昼食。付近の建物の配置が地形図と異なっている。よくわからん。

1230出発、相戸の堰はやはりポーテージかと思ったら、右岸の水路のようなところをラフトが進んでいく、我々もそのあとに続いてみる、難なく下れた。しかしその後の名も無き瀬でアドベンチャーが沈、藤吉と竹中は舟の両端にしがみついたまま流される、藤吉の姿が上に見えたと思うと次の瞬間には下に見える、急な流れのためアウトサイダーが隣にきてくれても体が安定せず舟に登れない、結局岸まで引っ張ってもらった。けっこう流されやっとの思いで復活したが藤吉の地図・デジカメを入れた袋が見当たらない、すぐに川面に浮いているところを発見できたが袋の中に浸入した水により藤吉のデジカメは天に召されてしまった、生活防水のカメラでもさすがに水没すると死んでしまった。

1315三段の瀬、一応偵察はしたのだが瀬まで近づけないので良くわからない、ポーテージもできないので慎重にはじめに安定性がいいアドベンチャーから行く。情報によるとかなり長く瀬が続くらしい、激しく波立ちパドルが空を切る、一段目の瀬はなんとか沈せずにいけたがスプレーカバーがあるにもかかわらずけっこう水が入り動きが落ちている、まだ二段、三段と瀬が続くのにやばいなと思ったら瀬はもう終わっていた。なにが三段なのかよく分からない。三段の瀬を抜けたところでとりあえずアウトサイダーを待つ、しかしなかなかやって来ないあの速い流れだとたとえ沈してもすぐに流されてくるはずだ、何かアクシデントでもあったのかなと心配になってきたころにようやくアウトサイダーがやって来た。どうも瀬に入るところでつまって身動きが取れなくなり自ら沈したとらしい。

1315スケボーホール、左岸に大きな岩があり流れがこの岩にぶち当たった後大きな渦をつくった後に右に曲がっている。カヤッカーがたくさんいたのでついつい遠慮して左岸よりを通過しようとしてしまった、アウトサイダーが先に行く、左岸の大きな岩への流れに吸い寄せられながらも何とか無事に通過、それにアドベンチャーも続こうとしたのだが流れに吸い寄せられてしまい岩に正面衝突藤吉と竹中はあえなく沈してしまった。投げ出された竹中は舟の下に入ってしまった、このときはまだなんとも思わず左手でパドルを握り締め、もう一方の手で舟を掴みながら水面に顔を出す、このとき竹中の目に飛び込んできた風景はなんとさっきぶち当たったはずの岩だった。「何故だ!」と思った次の瞬間に竹中は舟にしがみ付いたまま再び岩に吸い寄せられる、やばいと思った時には竹中の身体は岩には当たらずものすごい力で水中に引き込まれた、舟を掴んでいた手が離れる、パドルが水の力をもろに受けて手から離れようとするパドルをなくしてはまずいと思い両手で掴もうとするがパドルは流されていった。再度浮上してみるとまた舟の下った、さっきと同じ様に手で舟を掴みながら水面に顔を出す、やはり竹中の目に飛び込んできた風景はさっきぶち当たった岩だった。ようやく自分が今どんな状況にあるのか理解できた、渦に呑み込まれ抜け出せなくなっているのだ。こんな危機的状況にあるにもかかわらず竹中は「パドルが流された」と叫びまた水中に引き込まれていく、このとき竹中は「あぁ…困ったなぁ…」とか思いながらも沈みゆく中で数メートル先にこっちを見ているカヤッカーがいたおかげでまだ何とかなるなと感じていた。そして3度目に浮上してみると渦から抜け出ていた。安心したのも束の間、竹中の身体は激しい流れにもまれながら次の瀬に向かって流れてゆく。ちょうどその時、岸にいた小林がスローロープを投げた、今までの練習では見られなかったぐらい正確に飛んできたロープは竹中の2メートルほど手前に着水、ここが保津なら竹中はロープを掴めただろうが長良川の激しい流れの中では上手く身動きが取れずロープは無常にも離れてゆき瀬に入ったスローロープは逆に小林を瀬に引きずり込もうとした。この時になって竹中は初めて自分が死ぬかもしれないと思う、そして竹中の身体は激しい瀬に突入、尻を思いっきりぶつけながら流れてゆく、前方にかすかに藤吉の姿も見つけ少し安心した、練習どおりに足から流されようとあがいても自然の力には勝てず流れてゆく…。何とか死なずに岸にたどり着くとすぐ近くに藤吉も流れついていた。藤吉の所まで行き二人で互いに無事を喜んだ。どうやって対岸にまでもどろうかと考えていると親切なカヤッカ―が対岸からスローロープを投げてくれたしかしそんなものがとどく様な距離でもないし例えとどいても瀬の中を横断しなければならない。二人はなんとか戻ろうと上流にむかって壁を登ったり、やぶこぎしたりしながら何とか生きて生還することができた。

1500カヤッカーに挨拶した後に直後の瀬をポーテージして再出発、結局1時間ほどロスしてしまった。鞭打ちの瀬、モンキーホールはスケボーホールの恐怖からかなり慎重にコースどりをしていく。アウトサイダーが沈するもたいしたこと無く自力で復活。

 高原やな、まだやなは無かったがとても浅く舟を引っ張ることに、アドベンチャーが強引に行こうとして危うく沈しかける。

1610毛虫の瀬の偵察、ポーテージができないため慎重になる、ここは左岸をいくことにした。毛虫の瀬は今までの瀬で最も刺激的だった、勢いをつけて瀬に突っ込むと目の前に白い壁が2回出現する、そして2度目の壁を突き破ると舟は岩を乗り越え大きくはねて瀬が終わる、この瀬を越えたときは思わず叫んでしまった。アドベンチャーが毛虫の瀬を無事に乗り越え後ろを振り返るとアウトサイダーが来たそして舟は最後の岩を乗り越えたところで轟沈、みごとにひっくり返りこのとき末松は死を感じたらしいライフジャケットのサイズが小さく浮力が少なかったらしい。このときアウトサイダーのスローロープが行方不明になり末松、小林の気力、体力も尽き果てた。

 バンブー瀬、ここも左岸に流れがぶつかり渦を巻いているこの渦に巻き込まれると今度こそ死んでしまう。アドベンチャーは右岸ぎりぎりを行き、アウトサイダーは途中までポーテージした。

17:30ざんげの瀬(三股の瀬)の手前の左岸に上陸。1日目の行程を終える。藤吉、小林が着替えて電車で車のキーを持たずに車を取りに行き、末松、竹中が後片付けやテントの準備をした。キー無しで車は動かないので竹中がキーを届に行く羽目になった。

2030テン場に帰ってきて夕食、就寝。

4月

起床時間が遅くゆっくり朝食をとったので、
1100出艇、対岸に渡りざんげの瀬をポーテージけっこう距離があり足場も悪く時間がかかった。

1200頃再出発、ヘリコプターの瀬、確かに川面に渦が見えたがどってこと無し。オーバーハングの瀬これもたいしたことのない瀬だった、といっても子鮎レベルである。

1230勝原橋を通過した所で全行程を終了した。昨日と同じ様に藤吉、小林が着替えて車を取りに行き、末松、竹中が後片付けをした。

1400頃帰途につく。帰りは下道をいく、小林の運転もまったく問題ない。2000帰京。

 

まとめ

     パドル×1、スローロープ×1 流してしまった、アドベンチャーのスプレーカバー3ヶ所破損、アドベンチャーの空気漏れ再発。藤吉のデジカメ昇天

     スローロープの有効性に疑問を感じた。長良川クラスの急流ではスローロープを投げた本人が瀬に巻き込まれる恐れがある。実際に小林は誰も掴んでいないスローロープに引っ張られてこけてしまった。あの時に竹中がスローロープに手がとどいていたら二人とも瀬に巻き込まれる恐れがあった。スローロープを投げるときは1人で投げない方がいいと思う。

     瀬を流されているときは自然の力に身を任せるしかない。意図的に足から流されるのは困難。

     ライフジャケットのサイズについて考える必要あり。

     次はラフトで下ってみたい。